歯を抜く原因の約94%がう蝕や歯周病を原因としています。
このことからう蝕や歯周病をコントロールすることができれば、
将来歯を抜いて入れ歯をいれなくてすむともいえます。
どんなに高いお金を出した入れ歯でも自分の健康な歯より
快適に長期間かむことはできません。
いままではう蝕で歯に痛みが出たり、歯周病で歯肉から出血したり、歯が腫れてから患者さん自身が気づき、歯科医院へ治療に来院してきました。そうするとむし歯や歯周病の症状が進行し、歯を抜かなければならない場合が多くなります。
痛みのあるときの治療は、病気のために生じた問題点に対しての対処療法ですから、本来の病気の原因に対して治療しているわけではないのです。つまり本当のお口の健康を守り維持するための治療をしているわけではないのです。
いままでの痛くなってから治療するといった対処療法(銀歯をいれたり、神経の治療など)では健康なお口の状態を維持することはできません。
根本的な原因(プラークなどにいる細菌の塊)に対しての原因除去療法(歯石除去や歯のクリーニング)による虫歯や歯周病の予防が患者さんの口腔内の健康を維持できる唯一の方法だといえます。
つまり痛くなってから歯科医院に通う(銀歯をいれたり、神経の治療など)のではなく、痛くならないように定期的に歯科医院に通うこと(メインテナンスや歯石除去、歯のクリーニング)が、健康なお口の状態を維持するこれからの歯科医院のかかり方です。
70歳や80歳になっても自分の健康な歯でかむ為には、生活習慣(食生活や歯磨き、喫煙など)の変化や全身疾患の有無、虫歯の再発や歯周病の症状の進行の確認のため定期的にかかりつけの歯科医院で歯科医師、歯科衛生士による定期健診(メインテナンス)を受けること、そして原因に対しての治療(歯石除去、歯のクリーニング、生活習慣の改善や全身疾患への対応)を受けることが重要になります。
70歳台のメインテナンス患者さんの口腔内の状況です。
将来どちらを目標にしたいですか?
口腔内写真によりう蝕や歯肉の状態、歯石の付着、奥歯や舌側の状況を記録できます。また定期的な撮影により乳歯の時期から永久歯への生え変わりの状況が比較できます。
口腔内写真を撮影することによりう蝕や歯肉の状態、歯石の付着部位、奥歯や舌側の状況など患者さん自身では見づらい部分を確認することができます。また治療前、治療後の撮影により治療前後の比較ができます。
レントゲンを撮影することによりう蝕の状況や根の先にできた病気、歯石の付着の状態や歯肉の下の歯を支える骨の状態など目で見ることのできないお口の状況がわかります。
撮影にあたり防護エプロンやデジタル化でレントゲンの被爆量を最小限にすることを心がけています。
歯周病の治療に入る前に歯周組織の精密検査を行ないます。
検査項目はプラークスコア(プラークの付着状態)、プロービング値(歯周ポケットの深さの測定)、プロービング時の出血、動揺度、分岐部病変(歯根間の骨吸収)の有無などです。
歯周病検査の結果を利用しOHI-S(PreViser社)というソフトでリスクと病状を数値化して現在の歯周病の状態を血圧や血糖値などのように定量化できます。その結果から口腔衛生と口腔疾患に関するチュウトリアルを提供できます。
う蝕のリスク診断を行なうためには唾液検査が有効です。一般的には唾液分泌量(刺激唾液)、唾液緩衝能、ミュータンス菌、ラクトバチラス菌の数をワンセットにして検査します。食生活やフッ素の利用状況などを考慮してトータル的なリスクを診断していきます。
カリオグラムは唾液検査の結果をもとに、ある個人の有する将来新しいう蝕ができるリスクをグラフで表したもので、グループレベルでの将来のう蝕の進行に関する適切な予測が可能です。
ダイアグノーデントは特異的な光を歯に照射し、歯質からの蛍光を記録・数値化(0~99)することで虫歯を検出する。非常に優れた感度をもち、患歯のう蝕の罹患程度が明確に示されます。
ベルン大学のA.Lussiの研究によると肉眼的に咬合面エナメル質の破壊が確認できないう蝕の進行の診断において正確性が著しく高いことが示唆されています。
位相差顕微鏡により患者さん自身の口腔内のプラークを利用し、口腔内の細菌の状態をモニターにて観察することができます。わずかなプラークのなかに多くの細菌が存在することがわかりプラークコントロールの重要性が確認できます。